こんにちは!
今回は、海洋大が誇るうみがめ研究会の秘密について迫っていこうかと思います。
うみがめ研究会は、2023年で26年目の歴史のある団体!
その評判は噂には聞くけど、実態はどのようになっているか?
25代会長に話を聞いてきました!
かめ研の2022年度の活動内容のほか、大学生が感じるカメ界の裏事情など、面白く語っていただきました。
こんにちは、うみがめ研究会25代会長のきしもとです。
それでは行ってみよー!
2022年度何やったの??活動内容
活動内容を教えてください!
ー活動ではないですが、新しい年が始まったばかりの時、いきなり小学二年生から相談を受けたんですよね。
小学生?
ーはい。ビジネスコンテストに出場するらしくて、テーマがウミガメだったので、zoomで質問や相談を受けて...。砂浜をパトロールするロボットがウミガメなどの生物調査・保全にどんなふうに活躍できるか一緒に考えました。
外部の人も、ウミガメで気になることがあったらかめ研に聞いてみてもいいかも。
そうなんです。かめ研はウミガメについて外部の人に頼られることがあります。自分もはじめて人に頼られて、嬉しかったです。
4月:来たれ新入生!新歓開催
ーサークルの活動としては、まず4月に新入生歓迎会の一環として、新入生と一緒に同定会をしました。
アオウミガメの胃の中の内容物を同定する会なんですね。めっちゃニッチですね笑
ようはウミガメのうんちの中身ですから、臭いもあります。けど、これが楽しくて入ったといってくれる子もいたので不思議(笑)
多くの新入生が集まってくれたそうです。いいね!
5月:皆で水族館へ!
ー新江ノ島水族館へウミガメを見にいき飼育員さんにお話を伺ったりしました。かめ研の人脈で水族館の裏側にも潜入させてもらって、色々と学べましたね!
水族館の裏側!かめ研だからこそ行けるのかも
6月~7月:図書館教育
ー東京都内の図書館にてウミガメの生態を紹介する教育活動に参加しました。毎年行っている活動で、今年はウミガメの紙芝居や工作を用意して臨みました。
前年までの経験を生かして、子供たちが視覚的に分かりやすい絵を作るように努力したらしい!結果は...?
ーアンケートでも「楽しかった!」という声を聞けて、やってよかった!と思いました。質問も積極的にしてくれて会場が盛り上がりました。
7月:有名バンドも来たお祭りで、講演依頼!
ー大学の総務課の紹介で「天王洲キャナルフェス2022夏」というお祭りに参加しました。
こちら、私も講演を見ましたが、すごく分かりやすくて勉強になりました。やっぱり紙芝居わかりやすいね、さすが!
とてもにぎやかなお祭りで、会場にはなんとMONGOL800の人が来て歌ってました!モンパチ最高。
こちらの講演は今年初の試みだそうで。大成功でしたね。
8月:高知遠征
ー高知県のむろと廃校水族館へいきました。研修という形で水族館業務のお手伝いをさせてもらいました。魚に餌をあげたり、ウミガメの赤ちゃんと触れ合ったり、近くの川で子供たちと遊んだりしてとても楽しかったです。
子ガメだ…とってもかわいいですね!
ーそうなんです!これ、アカウミガメの赤ちゃんなんですけど食欲がとても旺盛で、食べる姿が可愛すぎて毎日の餌やりが幸せでした。帰り際は切なかったです(笑)
9月:沖縄遠征
昨年の活動の振り返りで、うみがめ研究会部員で沖縄に行った時の写真です!
— うみがめ研究会@東京海洋大学 (@kameken_tumsat) March 17, 2023
年に何回か遠征があります。
ウミガメのたくさんいる沖縄は楽園の地です🐢
活動に対する質問等、DMでお待ちしてます! pic.twitter.com/bD4ppAxEua
ー沖縄県八重山諸島にある黒島という島にも行きました。
ここがとにかく大変だった(笑)
亜熱帯地域ですね!どういったことが大変でしたか?
ーこちらも研修だったんですが、やったことない作業が多かったんです。ヤギを連れまわしてご飯をあげたり、木を切ったり、投網でミジュン(ニシン科の小魚)を捕まえたり。はじめはなかなか順応できませんでした。
どれも都会には縁遠い作業ですね
ーしかも僕、都会育ちなので…(笑)あとサソリもいたし、現地の学生がハブに噛まれているところにも見ました。噛まれた足がとんでもないことになってて!僕も海洋大生ですから生き物得意ですが、それでも危険生物は怖かったですね。
ハブに噛まれた!?さすが沖縄、エピソードが強い。
ーでも、振り返ればどれも楽しかったです。自然にも感動したし、人間的にも成長できました。
9月:学生ウミガメ会議@鹿児島!
ー全国の大学のウミガメサークルが一堂に会する「学生ウミガメ会議」に出席し、研究発表をしました。鹿児島大学で行われ、鹿児島観光もしました。
かめコミュニティ楽しそうですね(笑)
ー総勢40名以上集まったんですが、皆さんととても仲良くなれました。そもそもがニッチな世界ですから、話も盛り上がるし、素晴らしい出会いでした。
10月:またまた講演依頼?アクアフェス2022
ー「アクアフェス2022」という東京五輪が行われた海の森競技場という場所で、ウミガメの講座を開催させていただきました。初めて行われた大会で、我々としても初めての参加でした。
またまた講演依頼すごい!かめ界盛り上がってますね!
甲羅背負えるのも、かめ研だからこそ!
11月:コロナで3年ぶりの開催!「海鷹祭」
ー東京海洋大学品川キャンパスで毎年開催される「海鷹祭」に参加しました。ウミガメの標本展示と講座をはじめ、ぬいぐるみくじ、スーパーボールすくいを出店し、パーカー、Tシャツ、カレンダー、ストラップなどのオリジナル商品の販売も行いました。
色々販売してましたね!私もカレンダー買いましたよ~
12月:年一回の日本ウミガメ会議@沖縄!
ー1年に1度開かれる「日本ウミガメ会議」に出席しました。今年は沖縄県国頭村で開催され、10名で参加しました。200名を超えるウミガメ関係者(大学、研究者、保全団体など)の研究発表を見て、我々も小笠原で行っている飼育下のウミガメの実験の研究結果を発表しました。
おお、ウミガメ会議!カメ人気だね~
そもそも、何でかめ研に??
活動について教えてもらってありがとうございます!
以下は、25代副会長の八木さんも交えてのお話です。
そもそも何でかめ研に入ったんですか?
ー学科の友達から誘われて、「せっかく海洋大来たし、1つくらい生物系やってもいいかな」という軽い感じ(笑)
でも、かめ研に入って、カメの生態を調べれば調べるほど謎が深まっていったので、今のカメ愛は大きいです。カメって、好奇心を呼び起こすような生き物なんですよね。
ー生態の謎が多くて面白いっていうのはもちろんのこと、カメが関係する文化的なものも面白い。例えば、ハワイではカメは幸福の象徴的な存在だし、沖縄では大漁になるという言い伝えがあるんです。
カメが地域の文化に根付いている場所が多くあるっていうことは、それくらい人々とカメの繋がりが深いわけですよね。
かめ研に入って、カメの生物的なことだけでなく、カメを取り囲む、観光協会や水族館、環境保全団体など、人間が関与してくる所にも興味を持ちましたね。
なるほど、生態以外にも興味を持ったんですね。ちなみに何のカメが好きなんですか?
アカウミガメの子ガメが好き。とげとげしてて、口がかくっとしていて可愛い~
ーカメってキャラクターとしても人気なくらい、可愛いですよね(笑)
ウミガメの保全活動はあちこちでなされていますが、カメが持つ可愛さは、その活動のエネルギー源となっている気がします。
”表面化しにくい”、カメ界の抱える重要問題
ほんわかゆるキャラ的のカメの存在。そんなカメ界はきっとゆるーく平和的な世界のはず...
と思いきや、どうやら闇があるそうです。
カメ界の抱える問題とはどのようなものですか?
ずばり、“人と人の協調“です。
協調?
ーウミガメに限らずですが、自然や生き物が好きな人は“独善”の状態に陥りやすいです。ニッチな世界であるがゆえに、自分たちが一番正しいと思い込んでしまうことです。
なるほど...
Twitterなんかでも、人んちの犬や猫の飼い方に難癖付ける人見かけますよね。あれと同じで、ウミガメの世界でも保護や調査をしている人が、ある一つの方法だけが正しいと断言してしまうことがあります。ウミガメの活動はほとんどの場合その地域の住民によって行われています。地域ごとに活動年数や手法もさまざまです。ですから、一人ひとりがいろんな思いで活動しているという実情があります。
ところが、ある断言によって指摘される側・指摘する側という構図ができ、そこにコンフリクトや分断が生じてしまうと良い関係が築けず情報共有も進まないというケースがあります。
口出ししてしまうということですよね。物知りだからこそ教えてあげたくなる気持ち、わかります。
ーそうなんです。たしかに、口出しする側が科学的に正しい場合もあります。
しかし、“お前は俺の言うことを聞け”というスタンスでは嫌われてしまいますよね。自分はこんなにもウミガメ(あるいは界隈)に精通しているんだというプライドが一番やっかいです。実は私にもその気が多少ありました(笑)。
科学的根拠はとても大事です。しかし、その伝え方はもっと大事なんじゃないかとあるときから気付きました。皆が専門家ばかりではないから、単純になるべく多くの人で協力する・してもらおうとすることが大切なのではないかと今は思っています。
かめ研の活動を通して、人間の行うあらゆる活動が人間関係の上に成り立っているという大原則を強く感じました。
ウミガメの保護もまず人間関係が大切なんですね
ーしかしそうなると大学生という立ち位置は結構得なんです。常に学びを乞う立場ですから、姿勢次第でいろんな人が教えようとしてくれます。だけど過去には“海洋大かめ研のくせにこんなことも知らないのか”と言われてしまうこともありましたね。悔しいけど、僕にとっては一番成長の機会でした(笑)
「海洋大生なのに知らないの?」は結構あるあるですよね(笑)カメ界に今後こうなってほしいというのはありますか?
ー具体的には、今後もっと連携が進んで世界中の研究者が日本各地のウミガメのデータをすぐ見られるようなシステムができればいいなと思っています。
日本の各産卵地には、表には出てきていないデータがまだまだたくさん眠っています。それらを引き出すには大変な努力とマンパワーが必要ですが、カメ界隈はウミガメ好きな気持ちで通じ合えるはずなので、いつかウミガメの生態の解明につながっていけば素敵だなと思います。
もう一つは、ウミガメ好き人口がなるべく増えたらいいなと思ってます。海洋大かめ研はその入り口になり得ると信じています。東京というアジア最大の人口密集地に拠点を置いている利点を最大限に生かして、この先も頑張ってもらいたいです!
かめけんが長年続く理由
今年2023年で26年目に突入するということですが、なぜこんなにも長く続いているのでしょうか?
ーよくわかりません!1997年に、水研から独立して設立されたと聞いています。やっぱり、ウミガメかわいいからですかね。
間違いない(笑)
2022年を振り返って
2022年度、会長を務められて総じてどうでしたか?
ーとても大変でした!とにかくいろんなところへ行きました。偉い人に怒られたり、部員と喧嘩したり、どれもいい思い出ですね。
以上でかめ研インタビューは終了です。
皆さん、お楽しみいただけましたか?かめ研が気になる海洋大生に限らず、「海洋大のうみがめ研究会って一体なに?」と思っている外部の方にも有益な記事になれば幸いです。
今後のかめ研とカメ界にも注目してみましょう!では!