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【マグロ延縄・バリ島編】東京海洋大学専攻科の7か月実習に迫る!大物がかかったぞ①

こんにちは!

今回は東京海洋大学の専攻科の7か月実習について、2009年度入学のOBとOGの方々に取材をして参りましたので、記事にしようと思います。


今回は初第1編で、総3編となっています。

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協力していただいた土屋さん(中央)と宮本さん(左)、ありがとうございます!

まず、専攻科って何?と思う方もいると思うので、大学の公式サイトから簡単な説明を引用してきました。↓

海洋科学専攻科は、水産・海洋分野における船舶の運航に関する高度な知識と技術を持った海上技術者を育てるために設置されています。海鷹丸により、航海実習や漁業実習、海洋観測実習、ならびに寄港地での学術交流等によって優れた船舶職員の養成を図っています。

https://www.kaiyodai.ac.jp/international/advancedcourse/advancedcourse.html

品川キャンパスの学部向けで、学部卒業後の1年間のコースのことです。

大学院ではないので、専攻科を修了すると「大学卒業」と同じ資格を持つことになり、その後は院に進む人もいれば就職する人もいます。(今回お伺いした卒業生の方々の時は就職が多かったそうです)

専攻科に進むと、三級海技士(航海)の筆記試験が免除され、口述のみになります。

三級海技士は国家試験。

専攻科に進むためには、乗船実習など取得する必要のある単位がありますので、興味のある方は確認してみると良いでしょう。大学サイトや履修ガイドに要件が載っています。そんな専攻科ですが、7か月実習にて南極に行きます。(コロナ渦を除く)

な、南極!( ゚Д゚)

今回はその実習について詳しくお話を聞いてきました。今回はマグロ延縄とパラオ編となります。

それでは、話を読み進めてみましょう!

専攻科の基本的なこと

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本日は色々とお話を聞かせてください。よろしくお願いします!

▶なぜ専攻科に進もうと思ったのですか?
土屋さん:私は3年次の1か月乗船実習が思いのほか楽しくて、そこで決めました。
宮本さん:海洋大に入った時から目指していましたが、まずは1か月の乗船実習で一応どんな感じか様子見して、それから決めました。

▶三級海技士の試験について教えてください。
海洋大生は(専攻科の)乗船実習の都合で、臨時で3月に試験が用意されていました。国家試験だけど、基本的なことが出されるのでちゃんと勉強していれば大丈夫。

▶専攻科に進むか迷う人に対して。
電波が入らない生活や集団生活で問題ない人ならお勧めです。

▶船酔いについて。(=乗船実習中の永遠の課題)
船酔いには気を付けて(笑)航海中に台風が来ていたのですが、すっごい揺れました。船上での仕事が成り立たないくらい。波が大きすぎて、船がそこに突き刺さっていって空が見える感じ。だから、皆体調悪くてご飯食べれなかった(笑)

安全上大丈夫なんですか?

一応沈んでいないから大丈夫なんじゃないですか?(笑)

(;゚Д゚)

※船長さんが天気図等をしっかり確認して運航をしているので安全上の問題はありません。

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WOW!THIS IS CRAZY!

だけど、船酔い薬を飲んでいた友人が途中から全然大丈夫になったりして、慣れがあると思いますね。常に揺れているし、耐性ができるんです。
土屋さん:私は陸に帰ってきたとき逆にすごく揺れている感じがしていました。いわゆる「丘酔い」。

実習について

専攻科では7か月の乗船実習があります。

実際には、最初の4か月は晴海・勝どき辺りの東京で停泊した船での実習、後の3か月は実際の航海となります。この航海で南極に向かうわけです。

停泊中は座学での授業や、船の錆打ち(※)などを、航海中は航海の勉強を行い、実際に舵を取ったり監視したり操業を行います。途中で停泊する海外の港では自由時間が取れるので観光できます。

※錆打ち:錆びてくる船をけずる作業。

実習の年と時期と船

2013年12月~2014年2月、海鷹丸での3か月航海。

航海ルート

3か月の航海ルートは以下の通り。

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※とても大雑把な地図。ご参考まで。

東京

⓪赤道付近(マグロ延縄)

①バリ島

②オーストラリアのフリーマントル

③南極

④タスマニアのホバート

東京

順を追って見ていきましょう。

⓪赤道付近でマグロ延縄

2013年の12月の頭に出て、25日頃にはバリ島に。ここに着く途中の赤道付近で、1週間ほどマグロ延縄漁を行ったようです。

ビッグイベント来た

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マグロ延縄。手書きすみません。

マグロ延縄漁:1本の幹縄に沢山の枝縄がついており、それぞれの枝縄に針がついています。餌にはサバやイカをつけて、マグロを狙います。ただし、ウミガメや海鳥の混獲が問題視されているのも事実です。当大学の生物資源学科には混獲を取り扱っている研究室がありますので興味ある人はぜひ。(3年次の生物資源学科の専門科目に「生産システム工学」という授業があり、そちらでは混獲を重点的にやります。)

▶朝の4時くらいから作業を始めました。幹縄を学生がつかんでダッシュしたり。針が付いている枝縄は危険なので乗組員の方が扱います。ヘルメットかぶっているし、目にもガードしているし、赤道付近の炎天下で漁を行うということで、暑かったですね。

重装備だ!確かに針など危ないですからね。あと、やっぱり朝早いですね。



▶そうだね。朝早いのは、鳥の混獲を防ぐためという理由でもあって。明るいと鳥が針先に付いている餌を見て飛んでくるので、混獲に繋がります。だから暗い早朝からサバを付けるなどの作業を始めました。

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学生

▶こんな感じで、学生は一列にずらっと並んでいます。こっちは釣れたマグロに銛(もり)をついているところ。↓

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マグロだ!
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獲ったぞ!

▶こうして獲ったマグロを押さえつけて、尾びれを切って、海水を口から入れて血抜きします。

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血抜き作業

一匹一匹やるのはかなり時間がかかりますね。マグロ以外には何か獲れたのですか?

▶獲れました。エイ、カマス、カジキ、アカマンボウ…なども。

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おや…
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アカマンボウだ!

大きい!あんまり身近ではなくてよく分からないのですが、実際に食べましたか?

▶食べました。回転寿司の100円マグロはアカマンボウっていう噂もあるくらい、味はマグロに似ていたよね。少し味の薄いマグロのような感じだった。

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こちらはカジキ!

あと、カマスも獲れたって仰っていましたけど…

▶はい、カマスも獲れました。カマスというのは「オニカマス」のことね。バラクーダ。

オニカマスは、カマス科最大の肉食魚。

延縄漁はどのくらいの規模でおこなったのですか?

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【再掲】マグロ延縄。

▶100~150(※)で、1鉢に10針くらいついている感じ。日によりますけどね。しけで早く終わらせたいときは少なめにしたし。

一鉢=浮きと浮きの間のこと

▶それで、魚がかかったのが「何鉢目の何本目か」という情報を記録につけていました。

他にもあまり載せられないエピソードがありますので、気になる方はメールかDMなどで。

①バリ島

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ケチャ@バリ島

さて、延縄を終えた学生たちを乗せた船は、バリ島に向かいます。

▶ケチャ(※)をみんなで見に行ったよね。

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ケチャの様子

▶これを見た後は、船内でケチャケチャケチャケチャ、、、という声がどこからともなく聞こえるくらいでした。ケチャの動画見てみてください。頭に残ります。

※ケチャ:インドネシアのバリ島で行われる男声合唱。

土屋さん:私はバリで、普段はしないオイルエステとか受けに行きました(笑)

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洋上祭

▶バリを出港してから次の(オーストラリアの)フリーマントルに入るまでに、洋上祭をしました。ちょうどお正月でしたので、みんなで餅つきしたり、綱引きしたり、女装大会したりしました。

https://youtube.com/watch?v=Nwe7pVIEkeA%3Frel%3D0

▶誰一人ちゃんと踊れていないですけどね。(笑)

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お餅つき。どこへ行っても日本文化は忘れずに。

新年を外国の海上で迎える。いいですねえ。

次はオーストラリアのフリーマントルへ。

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次なる旅路をゆく…「さようなら」

マグロ延縄とバリ島での観光を経て、約1か月が終了。年も明け、2014年になりました。

そんな学生たちですが、次はオーストラリアのフリーマントルに向かいます。フリーマントルは西オーストラリア州の港町で、南極へ向かう各国の南極観測船が寄港する拠点としても知られている場所。

こうして南極への旅は続くのです。
次回はフリーマントル・南極編!オーストラリアのフリーマントル港を経て、いよいよ一同は南極へと向かいます。そこで見る自然の美しさは言葉にはできません。

是非!

最後までお読みいただきありがとうございます。

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