こんにちは!
前回記事に引き続き、海洋大専攻科の実習についてお話を聞いていきます。
前回のおさらいになりますが、以下、航海の基本情報です。
実習の年と時期と船
2013年12月~2014年2月、海鷹丸での3か月航海。
前回の第1編はこちら↓
航海ルート
3か月の航海ルートは以下の通り。
東京
↓
⓪赤道付近(マグロ延縄)
↓
①バリ島
↓
②オーストラリアのフリーマントル
↓
③南極
↓
④タスマニアのホバート
↓
東京
前回記事でバリ島での観光までを話していきました。今記事ではオーストラリアのフリーマントルからのお話になります。
さて、2014年という新たな年を船上で迎えながらも、船はどんどんと南極に近付いていきます。
②オーストラリアのフリーマントル(とロットネストアイランド)
南極へ向かう途中、船は西オーストラリア州の港町「フリーマントル」に停泊することになります。フリーマントルは、南極へ向かう各国の南極観測船が寄港する拠点としても知られている場所です。
▶私たちは、フリーマントルで南極地域観測隊(JARE)と合流しました。南極を調査をする研究者の方々がそこまで飛行機で来ることになっていましたので。基本的にこのあと行く南極では、学生は研究者のアシスタント係です。
そうなんですね。フリーマントルでは観光しましたか?
▶はい、3日くらい自由時間が与えられたので観光しました。現地の人と仲良くなってビリヤードもしたよね。あと組体操なんかも披露して喜ばれた記憶があります(笑)
皆でチーズ持ち寄って色々なチーズ食べたりとかもしました。フリーマントル刑務所に行った人たちもいたみたい。私は普通のスーパーに行って買い物してました。あと、皆でワイナリーも行ったよね!
陸でも制服を着ているんですね!
▶そうそう。陸に停泊しても基本的には制服で過ごしましたね。結構目立つからか、現地の人に声を掛けてもらえて仲良くなりました。(笑)
確かにみんな気になりそう。会話のキッカケが生まれるのは良いですね。
▶また、上陸といっても結局泊まるところは船です。だから門限があるのですが、破ると罰がありましたね。事あるごとに「上陸禁止!」って言われてた(笑)
航海中の「上陸禁止」ほど辛いことはない!(と思う)
▶動物園にも、ロットネストアイランドでのバスツアーを組んで行きましたね。オーストラリアの動物のクオッカも見ました。
さあ、フリーマントルやロットネストアイランドで観光を楽しんだあと、一同はいよいよ南極に向かいます。
③南極
新年のパーティと観光の余韻に浸っている学生を乗せて、船はどんどんと北上します。周りが少し冷えてきました。
…お…もしや…?
…これは!!
わーーー!!初氷山だ!
いよいよ南極海突入ですね!南極に着いたのはいつ頃なんでしょうか?
▶いつから南極と呼ぶのかにもよりますが、記録ノートには1月11日にフリーマントルを出港し、1月17日に初氷山を観測したとありますね!懐かしいです。
フリーマントルを出てから1週間程度で到着したのですね。南極での1日でのスケージュールを教えてください。
▶基本的に船では誰がが働かなければ、動かすことができませんよね。ですので、「ワッチ(Watch)」という4時間ごとの勤務が振り分けられています。1日が4時間×6コマに分かれているんですね。
♦各ワッチの呼ばれ方♦
0時~4時:ゼロヨン
4時~8時:ヨンパー
8時~12時:パーゼロ
▶このワッチを1日に2回こなします。つまり8時間(労働)。私たちのときは6班に分かれて、片方が航海士の実習を、もう片方が観測の補助(漂流物観測、CTD観測、ネット観測など)を行います。それ以外の時間は睡眠と勉強に充てました。3月に三級海技士の試験があるので、それに向けて勉強する必要がありましたからね。
ちなみに、航海中ずっと同じワッチが入っているわけではないので、生活リズムがかなり崩れます(笑) 急に午前0-4時のワッチが入ったりね。
それは厳しいですね(笑)
ここで「船長、機関長、通信長」のギャグを一つ。
何にもセンチョウ~、言うことキカンチョ~、話がツウシンチョ~
ギャグ引用元:https://www.kaiho.mlit.go.jp/09kanku/fushiki/ibento6_8.html
▶実際の作業としては、海水計測がありました。CTD観測です。海水の塩分濃度・温度・クロロフィルを測ることで、海水の経年変化を知ることができます。CTD採水システムという装置にはボトルが付いていて、それを沈めて目的の水深で止め蓋がぱかっと閉まることで、その深度の水を採取できます。その計測結果を研究員の方が観察・解析するので、私たち学生は作業のアシスタントをする感じです。
▶あとは、NORPACネット(北太平洋標準ネット)を使ってプランクトンの採集を行いました。ネットを沈めて深いところから垂直方向に引き上げることで、深度別の採集データを比較することができます。
興味のある方はこちらを見てみると良いです。
海洋観測で活躍する機材たち
なるほど。自分のワッチの中で、海水やプランクトン採集を行うのですね。ちなみに、動物とかって見られました?
▶南極では、クジラとかシャチ見たよね。氷山の周りには結構な数の生物がいて、空には色々な鳥も飛んでいたし。アザラシとかペンギンも見た!…これこれ、何故かアザラシの集団が船の横にずっと付いてきて30分くらい遊んでいたよね。そのあと、急にスーッと去っていきました(笑)
▶ペンギンも結構いました。よちよち歩いているのが見えたり、小っちゃいのも頑張って歩いていたよね(笑)
ぴょんぴょん跳ねて泳いでいるのも見ました!
以下、水族館ペンギンならぬ天然ペンギンの写真集をご覧ください。
下↓の写真、拡大してみたらペンギン結構いるじゃん!(笑)
本当ですね!
動物たちがとても可愛い!ところで、氷山に実際に上陸したのですか?
▶動物たちに関して言うと、私たちが行った年はたくさん見れて当たり年だったらしいですね!また、上陸はしませんでした。氷が流れてきて危ないので、あまり近くに寄りすぎないように船を走らせていましたね。
▶最後の3日くらいにオーロラも見れましたよ。「最後の氷山。オーロラ現る。」って記録してある。実際見たときは「緑色?ん?」という感じでパッとしなかったのですが、写真として見ると美しいですね(笑)
▶オーロラが見れる緯度は決まっているらしいですが、私たちは南極海上で見れましたね。
そして夜が明け始め….。
次はいよいよ最終回
南極での作業を終えた学生たちに残ったのは、感動と興奮。
地球の神秘を感じます。美しい自然と、その中で暮らす生き物たちを見るだけで、日々の葛藤を忘れ、自分がちっぽけな存在なような気がしてきます。
こうして、船は南極から少しずつ離れていき、次の目的地であるタスマニアのホバートへと船を進めていきます。
次回はいよいよ最終回!日本へと戻る途中で、タスマニアのホバートに寄港します。番外編の「4年次の乗船実習・パラオ編」の話も併せて載せているので、お楽しみください!
最後までお読みいただきありがとうございます。